文楽・志ん生師匠を語る――序

序の序を書いてから随分時間が過ぎてしまいました。その間は文楽・志ん生を

繰り返し繰り返し聴いておりました。

そんな中で少しだけ、新たに解ってきたことがありますので、前回作に続けて

お読み下さい。

 

志ん生師匠が脳溢血で倒れたのは、昭和36年12月15日でした。

場所はなんと巨人軍の忘年会会場です。余興として落語を一席ということなの

ですが。バイキング形式の忘年会でした。とても落語を聴こうなんて雰囲気では

ないでしょうから。志ん生師匠もよく引き受けられたと思うのですが。

演目は「万病円」だったそうです。

落語の途中ですーーと意識が遠のくのがわかったそうです。

リハビリを終えて高座に復帰したときは超満員のお客様だったそうです。

病気の影響でしょう。呂律が回らなくなっていたのは仕方がありませんでした。

では話題を変えまして……・・

まずは、演劇から入ります。…・・関係ないだろうって?…・・

そうでもないんですよ。いずれは志ん生・文楽に繋がりますのでご安心を。

俳優が役をもらう。「役を演じる」のか、「役になりきる」のか、若干ですが

ニュアンスが違うようです。「演じる」=「なりきる」ではないような…

俳優になったことがないので、あくまで想像で物をいうしかありませんが、

俳優は役の人物と、どの程度まで同化している部分があるのだろうか?

という疑問があります。

俳優自身と全く違う人物の役がきた場合、俳優はその人物に「なりきる」のか

「演じきる」のか。

「同じことじゃないのか」という意見もあるし、違うような気がするという

意見もある。

  タイプA:「なりきる」ということは完全に同化すること。だから

        できない。ある程度、同化することは可能だから、「演じる」

        ことはできる。「演じきる」かどうかは俳優の実力の問題と

        観る側のレベル(実力・能力)の問題。

        役を作り上げるというタイプ。

   タイプB:俳優には「なりきる」必要がない役に巡り合う時がる。

        地でやれるという意味じゃなくて、「演じる」必要もなく

        同化できる役に会った。役の人物と俳優が同一ということ

        ではなく。俳優のそれまでの人生観と役の人物像のもつ人生観

        (想像されたもの)とが無理なく重ね合わせられるので、

        「なりきる」のではなく、「演じきれる」ということが

        あるのではないか。

   タイプC:俳優のイメージがある作品から固定されてしまう。

        余りにも強烈な役のイメージがイコール、俳優自身に

        重ねられてしまう。その俳優はいつも同じイメージででて

        くる。こざるをえないということなのでしょうか。

このへんで俳優論は留めおきましょう。

文楽師匠の演目について

桂 文楽全集には以下の演目が収録されている。

      

桂 文楽全集

愛宕山

桂 文楽全集

やかん泥

桂 文楽全集

景清

桂 文楽全集

夢の酒

桂 文楽全集

穴どろ

桂 文楽全集

富久

桂 文楽全集

かんしゃく

桂 文楽全集

心眼

桂 文楽全集

船徳

桂 文楽全集

つるつる

桂 文楽全集

大仏餅

桂 文楽全集

明烏

桂 文楽全集

酢豆腐

桂 文楽全集

悋気の火の玉

桂 文楽全集

寝床

桂 文楽全集

厩火事

桂 文楽全集

厄払い

桂 文楽全集

素人鰻

桂 文楽全集

星野屋

桂 文楽全集

しびん

桂 文楽全集

王子の幇間

桂 文楽全集

よかちょろ

桂 文楽全集

松山鏡

桂 文楽全集

鰻の幇間

桂 文楽全集

締め込み

桂 文楽全集

馬のす

桂 文楽全集

干物箱

桂 文楽全集

子ほめ

桂 文楽全集

小言幸兵衛

桂 文楽全集

品川心中

これらの演目の中にはその多くが文楽師匠存命仲には他の噺家さんがやらなかったものがある。

「愛宕山」「富久」「船徳」「景清」「心眼」「明烏」「寝床」「厩火事」

「素人鰻」「よかちょろ」「鰻の奉間」などなど…・

幇間物をやらせたら絶品といわれました。文楽師匠の人物描写は他の追従を

許さなかったということでしょう。

「馬のす」などは短い噺です。文楽師匠も時間がない時など高座にかけていた

ようです。でも演ろうとすると難しい噺なのではないかとおもいます。

だじゃれやくすぐりで笑わせるのではなく、人物のもつ面白さで共感のような

笑いを呼ぶといえばいいのでしょうか。

幇間ひとつでも、「愛宕山」と「富久」「鰻の奉間」「王子の奉間」ではみな

違う人物ですよ。「酢豆腐」の若旦那などはそのものでしょ。

「明烏」の若旦那とは大違いでしょ。「よかちょろ」の若旦那もまた違う。

落語にでてくる若旦那のタイプは「よかちょろ」の若旦那ですよね。

「干物箱」の若旦那も同じタイプでしょう。

こういう人達を一堂に会して映画を作ったら面白いものになるでしょうねぇ。

「居残り佐平次」を映画化した「幕末太陽伝」などはご覧になりましたか?

ここでは、・・人物描写・・・・という言葉をキーワードにします。

 

志ん生師匠の演目について

ちょいと上げただけでも、これだけありますよ演目は実に多いですよね。

文楽師匠は30演目位といわれていますので、全く異なります。

これは志ん生師匠の一部でしかないとおもいます。

ここに志ん生師匠と文楽師匠の芸風の違いを示す鍵の一端があります。

それでも、志ん生師匠ならではの演目といえば、やはり「火焔太鼓」となり

文楽師匠とは数が違うのです。

このことは何を示しているのでしょうか?

次の章にて説明いたします。

五代目 古今亭志ん生

犬の災難

五代目 古今亭志ん生

そば清

五代目 古今亭志ん生

風呂敷

五代目 古今亭志ん生

替り目

五代目 古今亭志ん生

親子酒 後生鰻 

五代目 古今亭志ん生

庚申待ち

五代目 古今亭志ん生

首ったけ

五代目 古今亭志ん生

火事息子

五代目 古今亭志ん生

らくだ

五代目 古今亭志ん生

大工調べ

五代目 古今亭志ん生

大山詣り

五代目 古今亭志ん生

稽古屋

五代目 古今亭志ん生

粗忽長屋

五代目 古今亭志ん生

五人まわし

五代目 古今亭志ん生

たがや

五代目 古今亭志ん生

抜け雀

五代目 古今亭志ん生

安兵衛きつね

五代目 古今亭志ん生

猫の皿

五代目 古今亭志ん生

お直し

五代目 古今亭志ん生

寝床

五代目 古今亭志ん生

中村仲蔵 五段目

五代目 古今亭志ん生

淀五郎

五代目 古今亭志ん生

唐茄子屋政談

五代目 古今亭志ん生

文七元結

五代目 古今亭志ん生

芝浜

五代目 古今亭志ん生

吉原奇談 

五代目 古今亭志ん生

鮑のし

五代目 古今亭志ん生

六尺棒

五代目 古今亭志ん生

饅頭こわい

五代目 古今亭志ん生

犬の災難

五代目 古今亭志ん生

あくび指南 百年目

五代目 古今亭志ん生

三軒長屋

五代目 古今亭志ん生

火焔太鼓

五代目 古今亭志ん生

塩原太助一代記 道連れ小平

五代目 古今亭志ん生

盆々唄

五代目 古今亭志ん生

品川心中

五代目 古今亭志ん生

江島屋

五代目 古今亭志ん生

もう半分

五代目 古今亭志ん生

搗屋幸兵衛

五代目 古今亭志ん生

猫の皿

五代目 古今亭志ん生

強情灸  小間物屋政談

五代目 古今亭志ん生

抜け雀

五代目 古今亭志ん生

浜野矩随

五代目 古今亭志ん生

名人丁次

五代目 古今亭志ん生

鰍沢 

五代目 古今亭志ん生

駒長

五代目 古今亭志ん生

しじみ売り 素人相撲

五代目 古今亭志ん生

宿屋の富

五代目 古今亭志ん生

姫かたり

五代目 古今亭志ん生

三軒長屋

五代目 古今亭志ん生

お若伊之助

五代目 古今亭志ん生

阿三の森   金明竹

五代目 古今亭志ん生

三味線栗毛

五代目 古今亭志ん生

穴釣り三次

五代目 古今亭志ん生

人情噺牡丹灯篭

五代目 古今亭志ん生

佃祭り 大津絵  

五代目 古今亭志ん生

水屋の富

五代目 古今亭志ん生

江島屋騒動

五代目 古今亭志ん生

妾馬

五代目 古今亭志ん生

疝気の虫 五銭の遊び

五代目 古今亭志ん生

富久

五代目 古今亭志ん生

宿屋の富 水屋の富

五代目 古今亭志ん生

千早振る

五代目 古今亭志ん生

厩火事

五代目 古今亭志ん生

幾代餅 大津絵・江戸の四季

五代目 古今亭志ん生

子別れ

五代目 古今亭志ん生

柳田角之進

五代目 古今亭志ん生

茶金

五代目 古今亭志ん生

安中章三

五代目 古今亭志ん生

狸さい 道灌

五代目 古今亭志ん生

毛せん芝居

五代目 古今亭志ん生

塩原多助・山口屋のゆすり

五代目 古今亭志ん生

雪とん 厩火事

五代目 古今亭志ん生

業平文治

 

文楽師匠と志ん生師匠、例えてみるとこんなイメージ

料理でいうと:

  文楽師匠:フランス料理

  志ん生師匠:中国(中華)料理

歌舞伎でいうと:

  文楽師匠:団十郎の芸

  志ん生師匠:菊五郎の芸

野菜でいうと:

  文楽師匠:マスクメロン

  志ん生師匠:トマト

お酒でいうと:

  文楽師匠:ブランデー

  志ん生師匠:日本酒

映画監督でいうと:

  文楽師匠:黒沢 明

  志ん生師匠:北野 武

画家でいうと:

  文楽師匠:レンブラント

  志ん生師匠:ピカソ

そして、俳優でいうと:

  文楽師匠:タイプA+タイプC

  志ん生師匠:タイプB

てなとこでしょうか。

皆様の共感を得ましたでしょうか。

ご意見などを戴ければ光栄です。

 

 


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