立川 談志 師匠編

 


 談志師匠については賛否両論あると思うが、小生が心酔している

 噺家の一人である。よく円楽、志ん朝両師匠と比べられるが、

 それぞれ味が違う芸の持ち主である。

 下表にもあるように、「野ざらし」は談志師匠の出世作の一つである。

 「野ざらし」といえば柳枝師匠の高座が絶品とされるが、

 談志師匠のも負けず劣らずのできである。

 まずは、下表をご覧あれ。

 

立川談志

野ざらし

立川談志

小猿七之助

立川談志

紙入れ

立川談志

お化け長屋

立川談志

短命

立川談志

ずっこけ

立川談志

疝気の虫

立川談志

たぬき

立川談志

人情八百屋

立川談志

四季折々

立川談志

ぞろぞろ

立川談志

鼠穴

立川談志

饅頭こわい

立川談志

粗忽長屋

立川談志

三方一両損

立川談志

三軒長屋

立川談志

幽女買い

立川談志

がまの油

立川談志

権兵衛狸

立川談志

勘定板

立川談志

三人旅

立川談志

堀の内

立川談志

源平盛衰記

立川談志

金玉医者

立川談志

紺屋高尾

立川談志

二人旅

立川談志

へっつい幽霊

立川談志

風呂敷

 

 その他にも絶品といえば、「疝気の虫」「芝浜」「慶安太平記」

 「紙入れ」「黄金餅」「二階ぞめき」「紺屋高尾」「居残り佐平次」

 など枚挙にいとまがない。

 正に今を語れる噺家なのである。

 

「芝浜」・・・・・・・・・・・・・・談義

 

 中でも、「芝浜」は三木助師匠の高座が有名であるが、談志師匠の

 高座は上回りこそすれ劣るものではない。

 「腕はいいが酒におぼれ仕事に行かない亭主に舞い込んだ大金。

  亭主の身を思い、たった一つの嘘を突き通して立派に更正させた

  女房。自らを悔い酒を断った亭主。店を持って人を使い生活も

  安定した亭主に、大晦日の晩、好きな酒を用意し飲んでもらおう

  とする女房。『べろべろに酔っちゃえ!』という女房。

  もう大丈夫、亭主に好きな酒を飲んでもらって労をねきらおうと

  する女房。飲みたい亭主。飲もうとする・・」

 その後の落ちは言うまでもないでしょう。素晴らしいできです。  

 

「二階ぞめき」・・・・・・・・・・・・・・談義

 

 まさに落語の世界そのもの。落語でしか語れない噺。

 「大店」の若旦那、例のごとく吉原に入り浸りで勘当も間近の身。

 親父の小言なぞ耳にはいりゃしない。「家にいればいいんだろう」と

 悪友の入れ知恵で一計を案じた若旦那。あろうことか二階に吉原を

 再現してしまおうという噺。造りもなにも同じにして口開けの

 その日。一人芝居であろうが、牛太郎や女郎をひやかして歩く

 若旦那。まるでそこに実在の人物がいるかのような駆け引き。

 荒唐無稽な筋立てではあるが、当時の吉原が目に浮かぶような

 演出であり、吉原の情景はさぞやと思わせる話芸は見事である。

 まさに絶品である。

 

「人情八百屋」・・・・・・・・・・・・・・談義

 

 あまり高座にかけない噺である。筋立ては「唐茄子屋政談」の後半

 と同じである。道楽者の若旦那が叔父さんの世話で「唐茄子売り」に

 なって、行商人になる。親切な御仁の世話でなんとか売れたものの、

 弁当をつかおうと寄った長屋で貧しい一家に会い、売上の一部を

 あげてしまう。そこに不人情な大家が来て、その金を家賃のかたに

 とりあげてしまう。世を嘆いた夫婦は子供を残して自殺してしまう

 というストーリ。

 これを「唐茄子売り」ではなく、「八百屋」に置き換えたのが

 この「人情八百屋」という噺。親たちの死後、近所の「火消し」に

 引き取られていた二人の子供は、その一件を聞きつけた八百屋に

 養子として引き取られていく。実にいい噺である。

 落ちは「俺は火消しだろ、しつけ(火付け)はあわねえんだなあ」

 

「疝気の虫」・・・・・・・・・・・・・・談義

 

 「なによりも、あなたのそばが毒といい」の「そば」ではなくて、

 食べる方の「そば」。この「そば」がいけないのが、疝気という病。

 なにしろ疝気の元の虫たちは「そば」が大好物ときてる。

 そして、疝気は男のみの病。女性はかからない。

 疝気の虫は普段どこにいるかというと、男性の「金」の「袋」の中

 暑からず寒からずで住み心地抜群とか。

 疝気の虫がいるというと「そば」なんざ食べた日には、下から

 はいあがってきて、お腹の中で悪さするというやつ。

 ある日、夫婦が差し向かいに座って食事をしている。旦那は疝気なの

 で、「そば」は食べない。女房は「そば」好きで食べている。

 そんな「そば」の匂いが旦那の口から腹を伝わって疝気の虫の

 ところに漂ってきた。早速上に這いあがる虫達。

 ところが「そば」は落ちてこない。じれた虫は口の向こうで漂う

 「そば」の匂いめがけて飛び込んだ。所は女房の中。

 お腹が痛くなった女房は疝気の虫の嫌いなトウガラシの水を飲む。

 さあ虫達は大パニック、急げや急げと下に向かって逃げていく。

 しかし・・虫達に安穏の場所はあろうはずもなく・・で落ち。

 この噺も落語らしい噺である。きわどいが、変に艶噺でもない。

 こういうとっぴょうしもない噺が落語らしくていい。

 談志師匠はこういう分野のレパートリーも多く、得意としている。

 


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