立川談志 高座五十周年記念

客席には、ちらほら空席がある。これが悲しいと思いつつ開演を待っている。
出てくるはずも無い前座を客は待っているようだ。
いきなり家元がでてくるのに戸惑っている客席。ざわついてる。このざわつきがいやだなと思いつつ出をまった。
体調の悪さと足腰の衰えをあからさまに見せながら家元がでてきた。
“前座じゃないよという声が客席に上がる。“
「しょうがないか」という思いが浮かんだ。
いつものように、フランス小話や艶笑小話などを織り交ぜながら噺が始まった。
非常識な内容に文句を言い出す客が出始めている。
“すんなりとした古典落語が聴けるとでも思って来ているのかよ!・・・・・・・・と思う”
11月末なのに会場は暖かく地球温暖化がもろにきていて高座の家元もしきりに汗をぬぐっている。
“係りの人。冷房をきかせてくれない・・・・なんてジョークも入ったくらいです。”
「どうやら家元は風邪をひいているらしいな・・・・・・・・」と感じましたね。
「無学者」という噺の筋をおいながらね、ところどころアドリブの小話を入れて高座は進んでいきます。
「どうやら“やかん”かなぁ。」ということで、本題に入りました。
トチリが多くなっている。忘れている部分も多い。・・・・・・・・衰え?・・・・考えたくない現象ですが・・・・。
それは確かなものになってきていました。
家元までが・・・・・・・とうとう・・・・・・・・・・なのですか?・・・・・・・時間が無いのですか?
非業にも時は流れていきます。
できはいまいち・・・・・でね・・・・・・・家元もそうおっしゃっていましたけど。
で、仲入りということに。
「釣りの噺を二題」・・・・・・・・です。
となると、「野ざらし」をやってくれるかなと期待しました。
最初が「おしの釣り」・・・・です。
障害者がでてくるので高座にはかけにくい話でしてね。
弟子の談慶さんがやってくれております。珍しい噺ということでしょう。
殺生禁断の上野不忍池で釣りをしてしまうという話でね。
一席が終って客席から不満の声がでてきた。
“真面目に古典をやれって・・・・・・・・・・・さ”
こんなことを言う客が最前列に座っているのですよ。(・・・・・・・帰れよ・・・・・おまえ)
でね。家元・・・・・・・・・小猿七之助・・・・・・・の序を始めました。
例の名調子ですよ。
久しぶりに「小猿七之助」を聴けるのかなと嬉しい限りです。
少し聴かせて止めてしまいます。
で、「野ざらし」へと。
聴きおさめかなぁ・・・・・・という思いがして仕方がない。
家元の目に光っているものがあった。
「一期一会」・・・・家元がこの頃しきりに言っている言葉です。
客席はたいへんにうけていましたね。
終りましてね。いつものご挨拶です。
体調の悪さをわびている家元。
「お帰りになるのを見送ります。」と言って高座からおりない家元。
握手をしようと寄ってくる若い女性達。
家元は最後の客が出て行くまで高座に立っていましたよ。
寂しそうな表情がありありと・・・・・・・・・・・・。
六十六歳。立川談志師匠。
有難う御座いました。