立川 談春 師匠編

 


ご存知、立川流の若旦那、ほかほかの真打の登場です。

メリハリのきいた噺をする新進気鋭の有望株ですね。

いつもながらではあるが、立川流にはなんと有望な若手噺家が多い事か。

これも家元のなせる技なのだろう。正に「百年目」の「旦那」の関係なので

あろう。家元という大木が下草に露をおろし育てている。その大木も下草の

おかげで伸びてゆくのだろうか。(弟子から得るものなんぞねえ・・と

家元に叱られそうだ。・・(T_T))

談春師匠はよく志らく師匠との二人会を催している。芸の競い合いの場であり

研鑚の場で、戦いの場でもあろうか。二人会は若手を育てる良き場となろうが、

肝心の客の方がタレントに会いに来るような感覚の持ち主ばかりじゃ。

噺家もせつなかろうと思いますね。先輩から聴いた事ではあるが、寄席の席の

奥のほうの定位置に座って笑うでもなく、かといって眠っているわけでもない

いわゆる常連客という最強の批評家を失って久しいのではなかろうか。

高座と客席は1対Nではなく、1対1の修羅場、お互いの想像力(創造力)の

かち合う場であろう。そこに落差があることは否めない。どの程度の落差なの

かは探り合うしかない。高座からみればエベレストの頂上から見下ろすような

思いであろうし、客からすれば、どっこいそうはいかねえという意地がある。

高座と客席の意地と意地のぶつかり合いなのよ。

「わかっちゃいねえだろ?」「ふん、わかってらい畜生めい!」のぶつかり。

でもね。噺家さん。

 

わかっているんですよ。わかっていると思っているのよ。だから…・

わかっていると信じてよ。わかっているよきっと。大丈夫、大丈夫

任せてよ。安心してよ。がんばってるんだからこっちも…・(^!^)

 

でもでもでも…きっと本当はわかっちゃいないんだろうね。…認めたくないけど。

 

さーーて、そろそろ開演といきましょうか。

まずは「岸柳島」から

 

 

立川談春

鰻屋

立川談春

寄合酒

立川談春

岸柳島

 

 

「岸柳島」という…………………噺

 

「がんりゅうじま」と読みます。普通は「厳流島」と表記しますが、噺の中に

佐々木巌流小次郎がでてくると、「厳流島」とします。でてこなければ、

「岸柳島」といいます。今回はこっちのほうですね。

噺の内容には変わりがないのですよ。では……・

 

乗合船での出来事の話です。階級制度が厳然としていた時代ですが、武士と

町人が同じ船に乗りあわせるというケースはあったようで、そんな時の話。

若い武士が町人と船に乗りあわせた。武士は船がでると煙草を吸おうと煙管

を取り出した。その煙管は上等なもので銀の雁首であつらえてある。

武士が一服して船縁ではたいた瞬間に雁首が取れて水没してしまう。

あわてたその侍は船を停めるように船頭に申し付けるが、動いている船のこと

戻る事はできない。やきもきしているところに、乗り合わせた屑屋さんが、

残った煙管の部分を買い取りましょうと言い出す。面白くないのは侍の方。

無くした銀の雁首をあきらめきれない。「無礼者め!」と怒り出した。

「そこになおれ。無礼打ちにいたす!」などと、只ならぬ騒ぎにあいなる。

震え上がる屑屋さん、当然命乞いをするが、聞き入れられない。

あわやというところに、仲裁に入ったのが老武士。低調になだめるが、

いきりたった若い武士は引くに引けない状態。とうとう尋常に勝負しろという

ことになる。そこは歴戦の老武士である。船中では余人の迷惑になるといって

中州の岸柳島に船を寄せて勝負という事になった。岸に着くと決起にはやる

若い武士、先に船から飛び降りていざ勝負という準備万端の様子。

年老いた武士と若い武士、とても老武士に勝ち目はないと思われた。

衆人が息を飲んで見つめるなか、老武士のとった行動は……

「船頭!船を出せ!」であった。なんと若い武士を置き去りにしてしまおう

ということ。これには町人がやんやの喝采で、普段から威張りくさっている

侍に反感を持っているから、それっというわけで漕ぎ出してしまう。

身の危険がなくなった町人達は若い武士に向かって罵詈雑言をはく。

それに怒ったか若い武士、褌姿になって口に小刀を咥えるやドブンと水に

飛び込んだ。水練の達人とみえて、みるみるうちに船に近づいてくる。

驚いたのは船上の町人達。まさか逆襲はないと思っていたから、あわて

ふためく。「あの侍は手だれじゃ。きっと船底を抉りに来たのにちがいない」

などと言う者がいたりして、船上はパニック状態となった。

これはいかにと老武士が槍をもって身構えているところに、例の侍が浮かび

上がった。すかさず老武士が…・「下郎、何を遺恨に舞い戻ったか!」と

いうと、「いや、雁首を拾いに参った。」……・・でオチとなる。

 

やはり町人にとって二本差しは相当に怖かったようですね。「宿屋の仇討ち」

という噺には、その様子が現われています。「いはちーーーーーー」。

侍が呼んでますよ……・・(^!^)

 

 

 

 


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