古今亭 円菊 師匠編 

 


 独特の仕草を持つ師匠である。志ん生師匠に師事している。口調に特徴 

 のある話芸で好きな噺家の一人である。志ん生師匠を最後までお世話を

 したお弟子さんで志ん生の芸の真髄を知り尽くした噺家であろう。

 なにしろ3年間、志ん生師匠を負ぶって寄席に行ったり、「世界湯」という銭湯に連れて行って

 全身を洗ってやる。しもの世話までしたというから凄いものです。

 円菊師匠はこれを人生の修行と考えたそうです。

 高座で独特の仕草をする噺家の代表が上方では「桂 枝雀師匠」。

 東では円菊師匠であろう。このような噺家が続いて欲しい。

 枝雀師匠については未だ完成してないけど、大事に考えているので

 作成中と思って期待して欲しい。まずは円菊師匠からとします。

 静岡県島田市出身。お茶作りの農家に生まれている。

 何といっても師匠の特技は「手話落語」であろう。

 障害者にも落語の世界を、ということであろうが、音で伝える

 落語を仕草・手話で伝えることは至難の技である。演目は限られる

 だろうけど素晴らしいの一言につきる。そういえば枝雀師匠も

 「英語落語」をやっている。合い通じるものがあるのだろう。

 ボランティア活動などにも忙しく法務大臣賞などを受賞している。

 「円菊流」の所以は言葉のなまりが発端になっている。

 志ん生師匠から「高座の座布団の中に何かがあるはず」といわれた

 という。蘊蓄のある言葉だ。噺家ではない私には真の理解はできない。

 

 


古今亭円菊

お直し

古今亭円菊

花見の仇討ち

古今亭円菊

畿代餅

古今亭円菊

厩火事

古今亭円菊

妾馬

古今亭円菊

三枚起請

古今亭円菊

富久

古今亭円菊

明烏

古今亭円菊

蒟蒻問答

古今亭円菊

井戸の茶碗

古今亭円菊

付き馬

古今亭円菊

唐茄子屋政談


 

「付き馬」・・・・・・・・・・・・という噺

 

 吉原遊廓の噺である。女郎買いの客と「牛太郎」という店の若い者との

 騙し合いの噺である。こんなことが本当にあったのであろう。

 吉原の中店の前にやってきた男。牛太郎(客引き)の呼び止められる。

 「へいどうぞお上がりを」しつこくせまる牛太郎にその男。

 「上がっていきてえんだが金がねえんだよ。・・まあ満更当てがねえわけじゃ

  ねえんだけどな。」「何かあるんですかい」と牛太郎。「うん、実は伯母さん

 に頼まれて貸し金の取り立てに歩いてるんだ。だけど朝っぱらから金の出ると

 いうのは向こう様もげんが悪いから、もう少したってから行こうと思って

 るんだ」「へえ、さようですか。ならばすぐお金は入るんでやすね」と牛太郎。

 それならば勘定は後でということでこの男を上げてしまう。まんまと引っかかっ

 てしまう。只でいい思いをしようという輩。どんちゃん騒ぎをやって翌朝。

 「へい旦那さん。昨夜はすいぶんとお遊びいただき有り難うございました。

  隅々までご祝儀をいただきまして朋輩も喜んでおります。つきましては

  お勘定のほうを宜しくお願いいたします」と牛太郎。

 「おい、ちょっと待ってくんな。昨日も言ったように金はねえよ。それを

  承知で上げたんじゃねえか」と男は居直る。「わかっておりやす。ですから

 これから貸し金を取りにいってもらいたいと」、それじゃてんで牛太郎を連れて

 あちこちをごまかしながらとりつくろうとする。このへんが面白い。

 まずは湯屋にいって湯銭を支払わせるし、ちょうと一杯やっては支払いをさせる

 さんざん巻き上げてからとうとう牛太郎にせっつかれて、やってきたのが

 はやおけ屋の前、ここでお金をつくるからと言って待たせる。店に主人に

 掛け合って頭抜け大一番のはやおけをつくらせ後は店の前に立っている男に

 渡してくれと言って、とんずらしてしまう。牛太郎はお金をもらえると思って

 店に入っていく。お金をもらえるどころか代金を請求された牛太郎。

 さんざん巻き上げられているので払えない牛太郎に店の主人が職人に言いつける

 「おい中まで馬にいってこい」・・・オチ

 牛が馬のつもりで付いていったのが逆に馬を付けられたというオチ。

 「付き馬」というのは金を払えない客に付いていって取り立てる役目。

 吉原に出入りをしていた馬方さんに頼むのが多く、馬が付いてくるので

 「付き馬」と相成った。

 

「唐茄子屋政談」・・・・・・・・という噺

 

 これも吉原からみの噺である。例によって大店の若旦那。吉原遊びが過ぎて

 勘当となる。世間知らずの若旦那、好きな花魁のところに身を寄せるが、普段は

 快く迎えてくれるのに、金のの切れ目が縁の切れ目。すぐみ追い出されて路頭に

 まよう。ご飯も食べられずに町中をウロウロしていた若旦那。思いあまって大川

 に飛び込もうとする。そこを通りがかったのが叔父。すんでの所で止めた。

 叔父の家に連れて行かれた若旦那。叔父の計らいで「唐茄子」の売り子になる。

 もとより苦労知らずの若旦那。荷をかつぐのがやっとの状態。フラフラして町中

 を歩いていると軒先に笠をぶつけてよろけ倒れてしまう。

 道ばたにころがった唐茄子を見て、またもや通りがかった男。親切にも近所の

 連中に声をかけて売ってくれた。

 (どうもこの男。やけに親切すぎると思う。私は叔父の回し者ではないかと

  思っている。大川で若旦那を助けたのも偶然ではないのではないかとも。)

 お陰で残りが二つになった若旦那。ひょろひょろしながらも、吉原方面へと

 出ていった。吉原田圃の向こうに見えるのが吉原である。

 今は落ちぶれて近づくこともできない身。なつかしさがこみあげてくる若旦那。

 その内、売り声にも慣れてきた若旦那。下町の長屋にやってきて、昼時となり

 軒先を借りて弁当を使おうとした。中から出てきた子供が「まんまが食べたい」

 と言って亡く。母親が出てきて申し訳なさそうな声で、「あいすいません。

 もの三日も食べさせていないものですから。」・・・・どうやら父親が病で

 倒れ女腕ではろくに食べさせてもやれない事情を知った若旦那。さっきの

 売上を母親に渡して叔父の家に戻ってくる。叔父の方は若旦那がさぼったものと

 思いこんで売上の無いのを疑った。よくよく事情を聞くと満更嘘でもない様子。

 二、三日して、あの長屋に行ってみると両親は自殺をして子供だけが残された。

 という事態を知った。近所のものに訳を聞くと不人情な大家が来て、先ほどの

 お金を滞った家賃の足しにと無理矢理取り上げたという。・・・久しぶりに

 ご飯が食べられると楽しみにしていた親子は無情な仕打ちに世をはかなみ、

 親たちは自殺したということだった。自分のやったお金が元で、自殺させて

 しまったようなことになり、若旦那は激怒して大家の家になぐり込んだ。

 もとより近所の者はこれを契機に大家の家をメチャクチャにしてしまう。

 町役人が飛んでくるが大家の普段の行いを知っているだけに、長屋の者達を

 捕らえようとはしない。とはい奉行所での取り調べとあいなるが、若旦那の

 潔白が認められ、これが勘当を許されるきっかけになったという。

 人情噺です。

 

 

 


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