三遊亭 鳳楽 師匠編


 

円楽党の総領弟子の師匠です。定席には出演しておりませんので、余り

お目にかからない師匠なのかもしれません。でも、華があっていいのですよ。

噺家には地味な芸風もあり、チャラチャラした芸風や、客をいじることが

芸と考えている人もあります。その中では際立っています。

七代目 三遊亭円生襲名は良かったです。円楽師匠引退でね、三遊亭円窓師匠の六代目 三遊亭円生の後継指名もありかと思っていましたが、落語協会に残った三遊亭円窓師匠ですので円楽党

からすると抵抗があったのでしょう。推察しております。

「守破離」の中で「守」に徹する噺家は貴重です。「守」をマンネリと

評する方々も多いでしょう。でも、「タレント」と称する若き漫才やコントグループの人は、

果たして1年後、2年後に存在しているのでしょうか。

刹那的な笑いを求めるのか、「守」の芸に対して変化している自己を再認識することを

選ぶのか。「古典」という長い時間をかけて蓄積されてきたベースに対して、

今に生きる我々が自己を、どうのように認識するのか。

そこが、落語や歌舞伎、文楽、浄瑠璃、義太夫、能・狂言などの、とてつもなく面白いところ

なのです。

いつもマクラが同じとか、いつ聴いても変らないとか言って落語を卑下する人達も多いのは

事実でしょう。落語というジャンルが全ての人に受け入れられないのは当然でして、

何も落語に限った事じゃない。

でも、談志師匠が好きだとか、円楽師匠がいいとか、やっぱり文楽師匠につきるよ。

なんていっている落語ファンの方が、「マンネリな落語家は嫌い」

という類の発言をするのは、いかがかと思います。

芸も無く、ただ客をいじるだけの落語家はゆるせないけど、きちっと芸をもって、

いつものように高座を勤める噺家を酷評してはいけません。

「おう久しぶり、いつものように元気に高座をやっているね。こっちも 相変わらずだけど

また聴きにきたよ。いつものやつをやってくんない。」でな、気持ちなのです。

それでいい・・それで。

時の流れは絶えず変化しているけれども、人間は変化し続けるものに耐えられません。

ふっと、時間を止めて(止まらないけど)停滞する時を持ちたいと思うもの。

その形は様々でも、浸っている時間が欲しいものです。

  

ちょっと話題がそれてしまいましたね。鳳楽師匠の話をしなくてはいけません。

鳳楽師匠のような噺家がもっと脚光を浴びなくてならないと思います。

マスコミの面には出てこないけど、しっかりとした実力をもっている。

確かな芸による古典の世界をしっかりと味わえる噺家です。

 

 

三遊亭鳳楽

肝つぶし

三遊亭鳳楽

夢の酒

三遊亭鳳楽

初音の鼓

三遊亭鳳楽

天災

三遊亭鳳楽

八五郎出世

三遊亭鳳楽

蒟蒻問答

三遊亭鳳楽

尻餅

三遊亭鳳楽

粗忽の使者

三遊亭鳳楽

鮑のし

三遊亭鳳楽

道灌

三遊亭鳳楽

雛つば

 

「夢の酒」……………・という噺

 

酒好きの噺です。「酒好きは奴豆腐にさも似たり、初め四角であとはグズグズ」

「酒の無い国へ行きたい二日酔い、三日目にまた帰りたくなる」

  

例によって商人の若旦那夫婦。旦那がいい気持ちで寝込んでいるのを女房に

起こされた。若旦那はいい夢をみている途中でおこされたのである。

その話をすると女房は夢の内容を聞きたがった。しょうがなく話をする。

その夢とは、急な雨に降り込まれて困った若旦那、近くの軒先で雨宿りを

していると、家の中の女中に呼び止められた。どうぞ中に入ってお休み下さい

という。中に入ると年増の女性がいてお店のお得様であった。

さあ若旦那まずは一杯召し上がれという。この若旦那はお酒が飲めない。

断ってはみるが、つい薦められてお酒を口にする。この女性はいわゆる三味線

のお師匠さんで小唄や都都逸などを教えている、ちょいとしたいい女。

飲みつけない酒に気分を悪くした若旦那。奥の部屋に床を取ってもらい休んで

いると、師匠がはいってきて、一緒に休みたいという。

床に入ってさあこれから…という時に女房に起こされたというわけ。

この話にやきもちをやいた女房。口論となる。

夢の中の話にやきもちをやくのもおかしなことだが、そういう願望があるから

こんな夢をみるのだという主張。店の奥での騒ぎに大旦那がやってきて、事情

を聞いてみるが、嫁の中のこと、たわいもない話だと女房をいさめるが、女房

の方は納得しない。大旦那に夢の中の師匠を叱って欲しいという。

どうやって会いに行けるのかと聞くと淡島大明神に頼めば夢の続きを見られる

ということ。さあ今すぐ寝て欲しいという。困った大旦那はしぶしぶ横に

なり淡島様に頼んでみる。ここからが落語らしい話となる。なんと大旦那は

師匠の家の前に立っていて中に迎え入れられる。まあ大旦那、よく来てくださ

いました、さあまずは一杯どうぞ、ということに。この大旦那は息子と

違って大の酒好き。お酒の燗が間に合わないので冷やで一杯といわれるが

大旦那は冷や酒で大失敗した経験があって燗をした酒しか飲まない。

燗ができるまで待っているが、なかなかでてこない。じりじりしているところ

で起こされた。夢から覚めた大旦那。

「冷やでいいから飲みたかった」……・でオチ。

なんとも酒飲みの心理をついた噺である。

 


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