落語「意地比べ」

江戸の職人、強情な人も多かったようですね、「強情灸」などにも出てきます。風呂屋でもね、朝早く行くと常連たちが
きています。この常連が強情でね、江戸っ子は熱い湯が好きだってことで、なかなかうめさせてくれません。
湯船の中で動くと熱い湯が肌を刺すのでじっとしているしかなかったようで。
ある職人の男がいましてね。職人らしく家賃なんざためたりしませんよ。物を借りたら期日までに返さないと気が
すまない気質です。
この男。どうしたも五十両という金が必要になりまして、借りることにします。こんな大金おいそれ貸せるものでは
なのですが、この男の気質をみてね、ある時払いの催促なしということで貸してくれた。
恩あるお金ということで、この男は期日までに返すことを心に誓うのですね。この辺が強情気質でしょうか。
期日が近づいてきても、借金を返す算段がつきません。恩金だから絶対に返したいと思うので、もうひとつ借金をして
返しに行きます。
期日はいつでもいいのに、余裕のあるお金を返しに来たのかと問い正すとね、よそから借金してきたというので、
そんな金は受け取れないからもってお帰りというという。この人も強情ですからね。納得しないものはだめだという。
仕方が無いので借金先に返しにいくとね、この人も強情で受け取らないときてる。五十両の金が右往左往してる
ことになってね。強情な人たちが集まるとどうもこじれるようですな。