「坊主茶屋」VS「坊主の遊び」

 


上方落語では「坊主茶屋」、江戸落語では「坊主の遊び」という落語です。

遊郭といいますと、江戸落語では吉原、品川、千住、板橋が四宿といわれておりますが、

上方落語ではどうなのでしょうか。よく知りませんが。無いということはないですね。

「飛田」「福原」とかいうところなのでしょうか?

とにかく、公認・非公認にかかわらず遊郭というものが昭和32年3月31日まで存在しておりました。

江戸では吉原ですね。ここが公認ですよ。あとの場所は非公認ですけど、そんなことはどうでもいいので、

現代でもあるということは事実でしょう。「文違い」などという落語は今の新宿の遊び場所での

実際に起きたことにもとづいて作られた噺です。

吉原通いもピンからキリで大名が通うクラスからその日暮らしの金のない連中を相手にするような

クラスまで段階がありましてね。「松の位の太夫職」と言われた花魁は最高位クラスですよ。

このクラスとなるとね、大名道具と言われていまして、庶民が相手に出来るようなものじゃない。

金がかかるのですよ。

「紺屋高尾」や「幾代餅」から言うと、一晩で三十両くらいは必要だったようです。

職人の給料で三年くらいの年俸になるということですからね。大金でしょう。

しかしながら吉原も商売ですからね。一般庶民を相手にするようなクラスもありますよ、

まあこっちが本流でしょうか。

この辺の雰囲気を知りたかったら、柳家三亀松師匠あたりの粋談などを聴かれるとね。

いいと思うのですが。

それでもね、若い人には解らないかもしれませんね。

昭和の名人達が語ってくれた郭噺の世界も所詮は大正・昭和時代でして、

江戸の吉原遊郭については知らないのですよ。

ですからあくまでも想像の世界でしかないのかもしれませんけれども、

ここで取り上げている噺の世界に出てくるのはお女郎さんでも下層レベルですね。

安いお金で買うことが出来た女郎ということになります。

 

さて、上方では「坊主茶屋」、東京では「坊主の遊び」という落語です。

非常に内容の似た噺です。おそらくは上方の噺が原型でしょう。

双方とも安女郎屋に上がるわけです。ところが女郎屋の光景が上方の方が凄いことになっています。

お相手となった女郎さんは、病気持ちでしてね。性病に罹っている。鼻は落ちでいるし、

髪の毛は薄くなっている。

酒に酔った上に薄暗い部屋に通されますし、鼻をかぶせたりしていますので、

夜目にはそれほど酷くは写らないのですがね。

朝になって明るいところで寝顔などを見ると、驚いてしまうわけですね。

「坊主の遊び」の方はこれほどは酷くないのですが、何人もの客を取ったりしているので

自分の部屋に来たときはもうへべれけになっている。

何もさせないうちに寝てしまうてなことになるわけです。

客の方は面白くないですからね。なんとか仕返しをしてやろうということになる。

剃刀で女郎さんの頭を剃ってしまうのですね。

そうやっておいて女郎が起きるまでに帰ってしまいます。

 

「坊主茶屋」の女郎さん。

朝起きます。頭が寒いので頭に髪が無いのに気がつきます。女中さんがやってきて、

客を怒らせたのではないかと思うのですが、女郎さんの顔を見るとね。

鼻が落ちています。どこぞに転がっているのではと探しても見当たらない。

医者に行って取れないようにしてもらいなさいと言いますと、お女郎さん。

医者に行ってるけどさじを投げられていると言うのですな。

「医者がさじを投げたら、後は坊主に決まっている。」とオチます。

 

「坊主の遊び」の女郎さん。

髪の薄くなった客が上がります。酔って寝ている女郎に怒って頭を剃ってしまいます。

朝起きても気がつきません。そのうち頭をまさぐり始めます。

「あら、お客さんは、まだここにいるじゃない」と下げになりますね。

 

上方と東京では若干オチが違っておりますようで。

「坊主茶屋」の方は内容が凄惨ですので、東京ではさらっとした設定になっています。

上方からは「ええかっこしぃ」と言われている東京方ではありますがね。

 


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