「膳の陰」VS「手紙無筆」

 


上方落語の「膳の陰」は余り耳慣れないかもしれません。一方「手紙無筆」は高座にかけられることもあって

知っている方もいるでしょう。

義務教育の無かった時代。職人が読み書きできるなんてことは恥だということでした。

「無筆」とは読み書きできないことです。

新聞を読んでいる男のところに手紙を持った「無筆」の男が訪ねてきます。

新聞を読んでいるくらいですから字が読めるのかというと、この男。「やKん」でしてね。実は読めない。

しったかぶりというやつですね。

ここから落語が始まります。

差出人は誰で、どんな内容が書いてあるのか聞きたいわけですが、わかるはずも無い。

それどころか手紙を裏返してみていてね。墨が薄いから弔問の手紙だなんて言う始末です。

男はしつこく食い下がります。仕方が無いので、手紙をよこす可能性のある人は誰なのかなんて

聞きだしまして、男の叔父さんかもしれないなんていうと、そうだそう書いてあるなんてこじつけるのですね。

「随分ご無沙汰してる。」なんて勝手に解釈すると、「二日前に訪ねていったばかり」なんてことに。

すかさず「そうだ。そう書いてある。」なんてやり返すわけですな。

「千早ふる」なんて落語にも、わからないのになんとかこじつけてしまう男が出てきます。

「やかん」もそうですね。

「手紙無筆」のほうはストーリーが違っていますが、状況は同じようなものです。

「無学者は論に負けず」でしょうか。

「しったかぶりをする」なんてことは誰にでもあることでして、なかなか知らないということは言えないようです。

それ程知っているのかというと、そうでもないのが常ですね。

そういえば「浮世床」にも出てきましたね。字も読めないのに本を手にしている男でした。

回りの者は読めないのを知っていますから、どんな本なのかを聞いたりしてからかいますね。

茶の作法など知らないくせに、青黄な粉と椋の皮でたてた茶なるものを飲んでげっそりしている「茶の湯」。

「本膳」という落語も同様ですね。

 

それにしても、字が読めないであろう職人のところにいったい誰が手紙を送ってきたのでしょうか。

そして手紙の中には何が書いてあったのでしょうかねぇ。

 

 


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