上方落語「棟梁の遊び」VS江戸落語「突き落とし」

女郎買いに行きたいけど、金はない。でもなんとかして行きたいというのは人情でして、色々悪企みをしたりします。
遊郭で遊んだ挙句に金が支払えないときは、どうなるのか。簡単には許してもらえないわけですが、当初は見せしめ
として、桶を伏せてその中に入れられました。トイレなどにはいかせてもらえなかったようで、食事も日に一回でした。
店の者が付いていって勘定を取り立てたのが「付き馬」ですね。そもそもは馬子さんに頼んで取立てをしたのだそうで
現代でいえば宅急便屋さんに金の払えない客を渡してね、自宅とか親戚まで連れて行って代金引換にしたという
ようなものでしょうか。自宅の前に馬がつながれたりしていると、「あいつは馬を連れて帰ってきた。」てんで、近所の
人たちにもわかってしまったようです。
また、代金回収を専門にする業者もでてきました。郭には手数料を差し引いて代金を支払う。客は業者の手元に
置かれまして回収できるまで働かされます。その間の食事代などはさっぴかれますね。
身元が確かで代金が回収しやすい客とそうでない客とは待遇が雲泥の差であったようです。
さて、遊郭の代金を何とか誤魔化そうと画策をする客もいたのですねぇ。
金など初めから払う意志がなく、「居残り」を商売とした佐平次なんて人間もおれば、付き馬の若い衆を食い物にする
ような輩もでてきます。代金の換わりに図抜け大一番の棺おけを背負わされるのですからひどいものですよ。
金がないのに遊ぼうてんですから、それなりの設定が必要ですよ。身なりがわるいのでは相手を騙せませんから
貸し金の取立てに来た途中で吉原に寄っているということで今は現金が無いが貸し金をとれば金はあると騙して
遊んだのが「付き馬」ですね。
この付いてくる若い衆をやっつけてしまおうていうのが江戸落語「突き落とし」ですよ。こうなるともう犯罪ですよ。
事実こういう事件があったのだそうです。
金がなくても女郎買いに行きたい男たち。一人の男を棟梁に仕立ててね、上方では松島、江戸では吉原に
繰り込んだ。さんざん飲み食いして、一晩あけたあと、さて支払の時となる。棟梁役の男はかねてからの計画通りに
手下のものに財布を預けてあると言ってね呼びつけます。手下のものは、繰り込む前にあねさん、つまり棟梁の
女房に預けてしまったので手元にはないというのですね。それでは店の者についていってもらって払おうということに
まんまと連れだしに成功するわけです。
「棟梁の遊び」では店の者は女性となっております。
途中で小便をするなんていいましてね、「突き落とし」では堀端に並んでしますが、店の者を後ろから突き落として
逃げてしまいますし、上方落語の方は女性ですので、立小便というわけにもいきませんから、厠に閉じ込めてね、
逃げてしまうというわけですな。これは警察につかまってもしかたがないですね。
ま、そこまでしても行きたいのが女郎買いでしょうね。「蔵前籠」では浪士のおいはぎがでるなかを、あえて敢行する
という輩もいるのですから、そのエネルギーたるや凄いものですよ。