林家 木久扇 師匠編

 


「笑点」の大喜利で有名な木久扇師匠である。番組の中では余り達者ではない

仲間ではもっとも嫌われるダジャレしかできない師匠でね。ある意味では三平師匠でしょうか。

しかし芸人を演じている。あくまで演じていることに留意されたい。演目の少なさは類を見ない。

数える程度でしょうかねぇ。これでやっていけるのだから凄い。独演会には行きません。

息子が林家木久蔵を襲名してね。自らは林家木久扇を名乗った。

落語家の世界もどうやら世襲になったrしい。いかがなものでしょうかねぇ。

実は多芸多彩な芸人なのである。「木久扇ラーメン」を経営しているというのはシャレであろうが、

「日本の話芸」の冒頭の挿し絵は木久扇師匠の手になる

ものだ。師匠は漫画家志望だった頃もあり、かっぱ先生に師事していたと記憶している。

下の新作の中にもうかがえるが、一昔前の映画にいれこんでいた

ようで、時代劇全盛の時期だった。大河内伝次郎、片岡千恵蔵、月形竜之介、

山形 勲、市川歌右衛門、中村銀之助、大川橋蔵、高田浩吉、里見浩太郎、

などそうそうたるメンバーだった。

なかでも師匠は片岡千恵蔵が好きだったようだ。「七つの顔をもつ男シリーズ」

は傑作でした。小学生の頃、リバイバルで見かけた映画達となるだろうか。

劇中で皆さんが歌や踊りで華やかだった。まるで江戸版ミュージカルのようで

昔の御殿女中や武士は、あんなに艶やかな色彩の着物を着ていたのだろうかと

疑っていたことを思い出す。

師匠は彦六師匠の声真似がうまい。林家彦六伝なんぞは地で行く話だろう。

彦六師匠にはこんな逸話が残されている。

「ある日、楽屋で二つ目達が、何で物は腐るのだろうと論議していた。

 いろいろやり取りしているうちに側に居た彦六師匠に尋ねてみた。そこで

 師匠は一言・・“ばかやろ!早くくわねえからだ”・・」だってさ。

 

林家木久扇

目黒のさんま

林家木久扇

私の昭和芸能史

林家木久扇        

林家彦六伝

林家木久扇

鮑のし

林家木久扇

寿限無

林家木久扇

片岡千恵蔵伝

 

 

「目黒のさんま」…………………という噺

 

大名の食事は、「お毒見役」などがさんざん検査したした後にだされるから

冷めている。暖かいうちに食べないとおいしくないものも、冷めているから

あまりうまいものは食べていなかったと想像される。「納豆ご飯」とか

「味噌汁ぶっかけ御飯」などはお目にかかったこともないだろう。

当然、江戸庶民の定番、「いわしの塩焼き」なんぞは見たことも無いはず。

ましてや秋の旬ののった「さんま」の焼いたのなんぞは夢のまた夢。

真っ黒にこげた「さんま」、油でシュンシュンしている「さんま」こそが

本当においしいのだが。

 

そんな環境にいる殿様のお話だ。

武士も江戸中期になると戦などというものはなくなるので、武道の鍛練などは

おごそかになってくる。それでも健康のためか、殿様は普段の運動不足を

解消するため(?)、狩りにでかけることがあった。家来の者を引き連れて

自分は馬に乗って家来は走ってともをする。

狩り場についてひとしきりやって、さて運動をしたから「北山」となる。

すなわち、腹が空いたというやつ。家来の者に食事の用意を申し付けるが

間の悪い事に準備していなかった。殿様は一食ぬけば死ぬものと思っている

から大騒ぎとなる。

そこでしかたなく、近所(目黒)のお百姓のところにて調達しようと出かけ

たが大名の口に会うものがあろうはずもなく、あったのは七輪の上で

焼かれている「さんま」。

家来達は食したことがあるので、これでも仕方が無いと買い上げ

殿様の前に差し出した。

驚いたのは殿様。魚というものはすべからく赤い色をしているもの(鯛)

と思っているから、真っ黒な魚が目の前に出てきたのには・・(*_*)

それでもすきっ腹。目を閉じて口の中に入れておそるおそる食べてみると

そのおいしいのなんのって、旬ののったサンマをすきっ腹で食べたのだから

まずかろうはずがない。おかわりなんぞして、すっかり満足した殿様。

城に帰ってからも、思い出すのはあの「さんま」だった。

でも家来達にとっては殿様に「さんま」を食べさしたと知られては切腹もの。

なんとか殿様をごまかしていたが、あんなに嫌がっていた狩りに出かけたがる

殿様を押し留めるわけにも行かず、「さんま」を食卓にだすことになった。

しかし、真っ黒な焼き魚でだすわけにはいかないから、「さんま」とわからな

いように、蒸して骨をとり、吸い物の身として差し出した。

今日はあの「さんま」が食べられるとウキウキしている殿様の前に食事が

運ばれる。前を見るとあの「さんま」はない。

「おい、れいのものはどこじゃ」と問う。困った家来。「お吸い物の中に」

「ほうそうか、随分と姿・形がかわったのう」

ひやひやものの家来。それでも殿様は口に入れた。おいしいはずがない・

油分はすっかり抜けてパサパサになった「さんま」である。

「おい即答を許す。この「さんま」はどこで仕入れた」

「ははあ、日本橋の河岸でございます」

「そうか、さんまは目黒にかぎるぞ」…・でオチ。

 

庶民のほうが結構美味しいものをたべているという、金持ち層に対する反論

・皮肉があろう。


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