桂 小南 師匠編 

 


 残念ながら先頃亡くなられてしまった。

 下のリストには無いが師匠の演目に「長刀息子(ながたんむすこ」

 というのがある。「菜刀」というものをご存じだろうか。菜っ葉を

 切り落とす刀のこと。「ながたん」と読む。人情噺である。

 「ながたんあつらえてまして苦労しておりまーーーす。」という

 くだりは忘れられない。

 余り聴く機会がないかもしれないが、TVなどでかかったら、

 ぜひチェックされたい。

 師匠は上方落語の出である。関西から東京に移った。

 上方落語から江戸落語に伝えられた噺は結構ある。

 江戸落語の7割は上方落語がルーツと言われれている。

 江戸落語は人情噺が中心で、笑いは上方にありというわけ。

 一時期、上方落語は停滞し失われかけたが、米朝、文枝、松鶴、

 春団治師匠らの注力により見事息を吹き返した。

 「ちりとてちん」や「貧乏長屋」「野崎参り」などはそれぞれ

 「酢豆腐」「長屋の花見」「野ざらし」として江戸落語にある。

 上方らしい噺は音曲物に特徴があろう。いわゆる義太夫や芝居噺

 など文枝師匠や染丸師匠などが得意の分野となる。

 三遊亭百生師匠などは上方から江戸落語に移られて苦労されたが、

 上方落語の面白さを紹介してくれた功労者であろう。

 関東に住んでいるので、大阪の寄席に行く機会は数える程しかない。

 メディアを通じてしか聴けないが、ライブラリーには相当数あるので、

 ぜひ語ってみたい。小南師匠のライブラリーにも「胴乱幸助」

 「菊江の仏壇」「三十石」「鋳掛け屋」「野崎参り」など上方の

 題材が多いのは必然であろう。冒頭の「長刀息子」なども上方にしか

 ない噺である。しかも小南師匠のものしか聴いたことがない。

 私有であるが、未整理のためお蔵入りになっているまぼろしのテープ

 ライブラリーには収録されていて、いつか暇をみて編集しようと

 思っているが ・・・・・なかなか手がつかない。・・・・(+_+)

 なにしろ学生時代の頃からの収録なものでテープ自体が古くなってい

 ること受け合い。ダビングしなくては折角の収集が無駄になる。

 柳家三亀松師匠のものも多くある。志ん生師匠がお座敷で謡っている

 「おおつえ」などもある。やっぱりやるしかないかも。 

 

桂 小南

胴乱幸助

桂 小南

尻餅

桂 小南

三十石

桂 小南

煙草の火

桂 小南

菊江の仏壇

桂 小南

七度狐

桂 小南

ぜんざい公社

桂 小南

ほうきや娘

桂 小南

貝の村

桂 小南

野崎詣り

桂 小南

鋳掛け屋

 

 

「煙草の火」・・・・・・・という噺

 

 豪儀な噺である。落語らしい噺とえば言えなくもない。いわゆる大金持ちの噺。

 噺の中で金持ちが出てくるものというと・・「千両みかん」がある。

 貧乏人が金持ちになるというのは「富久」「宿屋の富」「鼠穴」「火焔太鼓」

 など。この噺にでてくるのは、そんな金持ちとは比べ物にならん金持ち。

 大阪で金持ちというと、噺にでてくるのは「鴻池はん」ですが、ここにでてくる

 のは「めしの旦那」という人。よく素性はわからない。

 この旦那はん。身分を隠して散財するのが生き甲斐という御仁だった。

 そんなことを噺の後半でわからせるようなストーリーになってている。

 では幕開きから・・・・・・

 

 大阪の住吉で客待ちをしている「駕篭屋」。なかなか客が付かない。

 そこにとぼとぼと歩いてきた老人に声をかけると駕篭賃も聞かずに客となる。

 行き先を聞いてもはっきりしない。田舎者の老人とあなどった駕篭屋。

 適当な遊び場所をあげて、北の新地のとあるお茶屋を紹介する。

 お茶屋に着いた老人。駕篭賃を茶屋の若い者に立て替えさせたり、駕篭屋に

 駄賃をあげたり、子供衆や芸子衆、幇間衆に祝儀を上げ、代金を立て替えさせ

 たりする。次から次と代金の立て替えをさせようとするが、疑いを抱いた帳場は

 ついに立て替えを拒む。そこでかの老人、今までの立て替え分を倍返しにして

 手持ちの残った金を座敷の朋輩達にばらまいて、右往左往する人間の滑稽さを

 十分楽しんで帰る。あまりの豪儀さに驚いた店の者。その後をつける。

 老人は鴻池の本宅に入っていく。鴻池の旦那の顔は知っている店の者は、不信に

 思い氏素性を尋ねると、れいの「めしの旦那」とわかる。この人は店に立て替え

 をさせて店の度量を計りめがねにかなえば、贔屓にするという行動を常として

 いた。だから立て替えを拒まなかったら贔屓にされていくらでも儲かる幸運を

 掴むところであったことを思い知らされる。あきらめきれないのは店側。

 なんとかご機嫌を取り戻そうと画策する。

 元手をかけて旦那の前でパフォーマンスをし、とうとう店に出向かせることに

 成功した。・・・・\(^o^)/と思い、さあ何でも貸してやろうと思っていると

 かの旦那はん・・「煙草の火をかしてんか」・・・がオチ。

 火を倍返しにされても・・(-;;-)

 

 残念でした、そうは問屋がおろさないということである。

 それにしてもこの旦那はんの茶屋での遊び方である。実に嫌みな態度だというと

 貧乏人の僻みかもしれないが、金持ちが貧乏人に金をばらまくこと、その金に

 群がる人間の姿が面白くてしょうがない様子。本音をむき出しにする落語という

 ものを物語る題材といえる。座敷で朋輩に金をばらまく時の旦那の笑い声は、

 「異常さ」さえ感じさせるのだが、落語はそこを包み込んでしまうところに

 落語のものすごさがある。


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