桂 南光 師匠編

桂 べかこ 改め 桂 南光師匠の登場です。TV出演も多いので
お顔はご存知かとおもいます。どちらかというと、いかつ感じの風貌でして、
どこか憎めないところがあります。亡くなられた笑福亭松鶴師匠に実力を
認められておりますので、高座はいいですね。
故桂 枝雀師匠門下ですね。
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桂 南光 |
骨釣り(野ざらし) |
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桂 南光 |
仏師屋盗人 |
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桂 南光 |
五貫裁き |
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桂 南光 |
初天神 |
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桂 南光 |
質屋蔵 |
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桂 南光 |
花筏 |
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桂 南光 |
胴切り |
「五貫裁き」………………・という噺
八百屋の善兵衛さん。人情に厚く世話好きで、仏の善兵衛とあだ名される
ような人物。この人に助けられた人は多かった。徳力屋の主人も困った時代
に善兵衛さんに助けられている。こんな善兵衛さんの息子に作次郎という男
がいたが、これが道楽息子で放蕩三昧。とうとう八百屋の身代を食いつぶして
嘆き悲しんだ善兵衛夫妻は失意の中、亡くなってしまう。
こんな作次郎であったが、やっと目が覚めたのか、真面目に働こうと長屋の
大家さんに身の振り方を相談する。この大家さんなかなか頭のきれる人物で
「奉加帖」を持って近所からいわば寄付をつのり、これを元手に商いでも
始めるように薦めた。近所には善兵衛さんに世話になった人がたくさんいる
からきっと力になってくれると言って作次郎を送り出した。
「奉加帖」というのは一番最小にもらう金額が大事でして、次からは右に
ならえという形になる。そこで作次郎は金持ちに成り上がった徳力屋に行く
ことに決めた。店に入って行くと番頭が出てきた。
「当家はこのようなことには応じない」ことにしておりますが、番頭の一存と
いうことで、三文を差し出した。たった三文である。作次郎が不満な様子を
みて、主人がでてきた。善兵衛さんには大恩ある身である。
ところが、番頭を諭してから差し出した金額が一文であった。これには堪忍
できない作次郎。お金を庭に投げつけて主人に飛び掛かった。だが、この主人
ひらりと体をかわして反対に煙管で作次郎のおでこを打ち付けた。
額から血を流しながら大家さんのところに帰ってきた作次郎。事情を説明する
「馬鹿だねえ作さんは、徳力屋といえばケチで有名。近所付き合いなんか一切
しない。金を溜める事は知っていても出す事は知らないという奴だぞ。」
と言ってから一計を案じて、奉行所に訴え出れば勝てるぞと、作次郎に訴え
させた。奉行所での裁きは作次郎の思いに反して、敗訴、作次郎に五貫文の
罰金を支払うこととなった。理由は天下の通用金を庭に投げつけた罪である。
五貫文とは5000文である。大金だ。しかし奉行はこう、条件を付け加えた
金を持ちあわせていないのは承知しているので、毎日一文づつ徳力屋におさめ
徳力屋はそれを奉行所に持参することと。…・・これが、どんな意味かが
面白いところ。作次郎にはこの真意が解らなかったが、大家さんは察しが
ついた。早速、大家さん、作次郎に一文渡し、日付が変る午前0時に徳力屋に
持って行かせる。深夜に起こされた徳力屋だが、奉行所のいいつけだから
仕方がない。渋々受け取った。日が昇ってからしかるべき書面を作成し
五人衆を頼んで紋服に着替えて奉行所に行き、一文を納めた。
帰宅してからも、五人衆に持て成しやら礼金やらで、たった一文納めるのに
かなりの経費が掛かったことになる。なにも真夜中に一文もっていく必要は
ないのだが、ここが大家さんの策略なのだ。毎日毎日、作次郎は日付が変ると
徳力屋に一文納める事になる。徳力屋も寝不足になるが、作次郎とて同じこと。
ある時、作次郎は時を間違えて午後八時頃に徳力屋の前に立った。店は
閉まっていたし、日付が変っていないので、仕方なく店の前で座り込んで
待つ事にした。日頃の疲れで居眠りしている作次郎を見回りの役人が見つけ
問いただし、徳力屋を起こすように命令する。戸を激しく叩くと、戸が開き
中に入った作次郎に主人が悪態をつく。
「奉行所のお裁きかなんだか知らないけれど、もう我慢ができない!」
これを聴いていた見回り役人にこっぴどく叱られたのは言うまでもない。
番頭は主人に、5000文完済するのは5000日即ち13年間余り、
こんな生活が続く事。収支に会わない事などを説明し、示談することを
進言した。さすがに主人も思いは同じで、翌日、番頭を連れて作次郎の
所に示談に行く事にした。大家さん、こんなことになる事はお見通しで
作次郎には前もって、こんな場合には自分のところに来るように指示していた
作次郎は徳力屋を連れて大家さんを訪れた。
「示談金として10両差し上げるがどうか」と切り出した。
これには大家さんが怒ってしまう。
「作次郎は乞食ではない。お金を恵んでもらう必要はない。差し上げるとは
どういうことか。なんでも金で済むと思っているのか。近所付き合いも
やらない。そこまでして溜めた金を、あの世まで持って行けるわけもない。
お奉行さんは金を庭に投げつけた作次郎を咎めたが、金を有効にいかさない
徳力屋おまえさんも咎めているんだ。金は天下の通用金。回り回ってこそ
生きるものだ。」と……・これを聴いた徳力屋は出直して参りますと言って
三日後、大家さんと作次郎を招いた。
行ってみると店の隣の空き家を改築して、「八百善」という店を作った。
店頭には野菜までも並んでいた。おまけに支度金という事で50両を
差し出した。これには大家さんも納得した。作次郎もこう礼を述べた。
「徳力屋さん。このご好意は一生感謝いたします。一生懸命働いてまがり
なりのも、儲かるようになったあかつきには、一文づつでも返しに参ります」
これを聞いた徳力屋。
「えっ、あかつきに(暁に)一文、返しに来る! 許してくだされ。」