立川志らく&柳家花緑二人会 IN よみうりホール

 


10月12日(土) 有楽町よみうりホール 開演13:30

 

奇妙な二人芝居から始まった。志らく師匠原案の「異常暮色」

演劇志向のある志らく師匠らしい芝居でした。落語の余芸としてはね。

これを目当てに来たのではないのでいいのですが。

今日は志らく師匠が「文七元結」。花緑師匠が「愛宕山」。どちらも大ネタですよ。

志らく師匠は「文七元結」を五代目 柳家小さん師匠から教わったそうですし、花緑師匠の「愛宕山」は志ん朝師匠から

教わったそうですよ。

 

立川志らく・・・「文七元結」

 

「文七元結」は近年では志ん朝師匠の高座が目に残っております。名演でした。

ですからどうしてもこれと比較をしてしまいます。

全く同じようにはやりたくのが噺家さんですから、それなりの工夫を入れております。

志ん朝師匠のものを知らない人たちには志らく師匠のものも受け入れられていくのでしょう。

「文七元結」という噺は人情話ですが、あまりにもよくできた話ですので、ストーリだけでもってしまいます。

落語というより、いい話を聞けたという満足感が残ります。最後の方では親子三人の姿に涙を覚える人もいるかも

しれません。

この噺のポイントは二つあります。

一つは金を無くして責任を感じて橋から飛び込もうとしている文七を長兵衛が止める件です。

娘を吉原に置いて作った金をおいそれとやりたくはない長兵衛が文七の命を助けようとすることとのジレンマを

うまく表現しなくてはならないのです。難しいですよ。

最後は金を投げつけるようにして去っていく長兵衛 です。

でも本当にこのようなことができるのでしょうか。娘の体がかかっているのですからねぇ。

二つ目は長屋で夫婦喧嘩をしているところに近江屋が娘を身請けして文七の礼にあってくる場面です。

五十両を返そうとする近江屋。一旦だした金は受け取らないという江戸っ子の気概を示す長兵衛。

屏風の裏で法被一枚で隠れてこれを聞いている女房。男は見栄者。女は本音でしょ。女房はお金が欲しくて

ならないわけです。噺家は長兵衛と近江屋のやり取りの中で、この女房の気持ちを客に想像させなくてはいけない

わけです。女房の姿を暗に思い起こさせなくてはいけないのです。志ん朝師匠はこの場面で実に見事に女房を

浮きださせておりました。

最後は親子三人で抱き合って喜んでる姿です。でもここで終ってはならないのが落語ですよ。

新派あたりならここで幕てなところです。

笑いをとって高座を降りなくてならないのです。

そこで演出をしております。第三者の目を登場させます。

長屋の人たちが登場します。女物を着た長兵衛。法被一枚の姿の女房。着飾っている娘のお久。

三人のアンバランスで笑いをとろうとするのです。

 

柳家花緑・・・「愛宕山」

 

この噺はどうしても八代目 桂  文楽師匠のものが目に残っています。名演中の名演ですよ。

志ん朝師匠のものも素晴らしかったです。

談志師匠にはできない噺ですね。似合わないもの(失礼!)。

幇間ものです。聞き所はだだ一点です。

お金ほしさに谷に下りた幇間。金を拾い集めますが、上がってくることまでは考えていません。

ここからが奇想天外の話の運びになります。

着物を裂いて縄を作って竹に結びしならせて反動で上がろうという。物理的には不可能なのですが、そこは落語。

成功してしまいます。

クライマックスは縄で竹を手繰り寄せる場面です。

しなるに連れて次第に力が入ってきます。ここの描写ですよ。文楽師匠は凄かったですよ。

晩年は血圧が高くなってやれませんでしたが、本当に鬼気迫るものがありました。

なにしろ助かりたい一心ですからね。

客の方も力が入ってきます。

やっとのことで上がってきた幇間。

「金はどうしたい。」

「ああ。忘れてきました。」

客もなんとなくほっとするようです。

 


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