八代目 雷門 助六 師匠編  


 

先代雷門 助六師匠。惜しくも亡くなられた。

 あの名人芸「あやつり」は九代目雷門助六師匠が受け継いでいる。

 晩年は体調が衰えて、いわゆる「板付き」で高座に上がった。

 師匠の高座ではよく「長短」がかけられた。絶品である。

 おっとりとした関西人気質がよくあらわれている。

 江戸っ子の「半さん」も見事であった。

 「仕立ておろし」も助六師匠以外には余り聴いたことがない。

 「上から刺しては下に抜け。下から刺しては上に抜け。まるで

  畳屋だあ。・・・・(*_*)」のフレーズは忘れられない。 

 「顔寸」もそうだ。この噺はラジオで聴いていてはよく解らない。

 いわゆる仕草で笑いをとる。

 「長短」や「仕立ておろし」など短い噺をした後、みせてくれたのが

 「あやつり」であった。尻からげをして、あやつり人形仕立てで

 踊り出す。大変、力が要る芸なのに実に軽そうに見える。

 「マリオネット」という「あやつり人形」を夫婦でみせてくれる、

 あの人形芸を思い出してもらうとよい。

 このような芸を余興として見せてくれる芸人が少なくなってしまった。

 昔は「百面相」とか「寛一お宮の早変わり」とか「スネークショウ」

 とかあった。今は寄席自体が少なくなってしまい、メディアが変わって

 いるため、出番が無くなっている。

 幇間芸なども絶えてしまうのだろうか。

 今やバーチャルでしか生き残れないのか。・・・・(+_+)

 

雷門助六

代り目

雷門助六

仕立ておろし

雷門助六

高砂や

雷門助六

顔寸

雷門助六

長短

雷門助六

片棒

雷門助六

虱茶屋

雷門助六

人形ばなし

 

「片棒」・・・・・・・・・・・・という噺

 

 大店を舞台にした噺。落語の中には大店が良く出てくるがいづれも、若旦那は

 道楽者ときてる。「明烏」の若旦那は例外だろう。

 大店の主人「赤西屋ケチ兵衛」氏には三人の息子がいる。

 そろそろ後継者を選びたいと思っているが、誰がいいのか踏ん切りがつかない。

 長男は派手好き、次男は遊び人、三男はケチ。旦那の性格を受け継いでいるのは

 三男のみ。しかし、どうも三人息子の性根がわからない旦那は番頭さんの知恵を

 借りて一計を案じた。「お店の一大事に対しどのように行動するか」という

 いわば案件処理能力で経営手腕を見極めようというわけだ。そこで想定したのが

 「大店の主人(即ち自分自身)の葬式をどう仕切るのか」という課題。

 まずは長男が登場:

 「おとっさん、やはりこれだけの身代ですから、世間様に恥ずかしくない弔いを

  しなくてななりません。お寺は芝・増上寺を借り切って3、000人くらいの

  参列者をご招待。料理は一流料理屋から豪華な仕出し。お重は金の蒔絵。

  お坊さんも100人。参列者にはお土産と車代3、000円を付けるてのは

 どうでしょうか。」

 頭からユゲのでそうな旦那、カッカしながら

 「一体いくらかかるんだい?」「そうですな、ざっと3000両ばかり・・・」

 「この馬鹿者!、家の身代を潰す気かあ。むこうへいけ。まったく噺にもなにも

  なったもんじゃない」「おい、次男はいるかい?」

 そこで立ち聞きしていた次男が登場:

 「まったく兄貴には困ったもんでえ。おれはあんなバカなまねはしやしねえよ。

  葬式ってのはしめっぽくちゃいけません。パーッとあかるくなくちゃねえ。

  あっしはねえ、芸者衆や幇間衆を呼んで山車仕立てでいこうと思うんだ。

  笛や太鼓でお囃子の中、“てこ舞”なんぞを踊りながら、町内をまわる寸法。

  山車では“人形仕立て”の親父が“人形ぶり”をするというわけ。

  へっ、どうだい親父!」

 「このバカもん。まったくどいつもこいつも、ろくな者がいない。」

 最後は三男の登場とあいなる。:

 「まったく、おまえの兄貴達はどうしょうもない。親父をからかいやがって。

  おまえなら、どうする気だい。」

 「私は兄貴達とはまるきり違います。弔いなんて一生に一度のこと。

  いくらお金をかけたって肝心の、おとっつあんが死んでるのだから、

  わかりゃしない。ですから、なるべくお金をかけないようにやろうと思います。

  まず近所の方々には11時出棺としておきます。ですが8時には出棺して

  しまいます。そうすれば近所の方にお礼をせずにすみます。」

 「そうだよ、えれえなおまえは。そうこなくちゃいけない。」

 「次に棺桶ですが、どうせ焼いてしまうのだから立派なものは要りません。

  漬け物樽をもらってきて棺桶とします。」「そうだよ。それで十分だよ。」

 「棺桶をかつぐのにも、人を雇うとお金がかかりますから、私がかつぎます。

  でもね、おとっつあん。片方は私がかつぐとして、もう片方はどうしようかと」

 「心配いらねえよ。片棒は自分でかつぐ。」・・・・でオチ。

 

 噺の中にケチな人がでてくるのは多い。噺家いわく、ケチな人は笑うために

 寄席などに来ることはないから、差し障りがないということだ。

 たしかに、泥棒や“しわい屋”(ケチな人)など客席にいるはずもないから

 話題にしてもクレームがないのかもしれない。

 この噺のやまは、なんといっても、次男の提案の中の“お囃子”の描写で

 あろう。

 「おひゃいとーろ、おひゃいひゃいとろ、ひゃっとひゃらら、どどちん、

  どどちん・・・・・」

 小朝師匠の名調子が聴こえるようだ。

 それにしても、貴方がかのケチ兵衛だったら、どの息子をえらびますか?

 勿論、三男だって・・・・(^;;^)

 これほどケチでは、「いざという時に商売の切っ先が鈍る」という「百年目」の

 大旦那のセリフが気になるよ。

 では次男ではどうか。彼は典型的な「船徳」「よかちょろ」「七段目」

 「唐茄子屋政談」などの若旦那タイプ。きっと店を潰すに違いない。

 では長男を選びますか?

 たしかに噺の内容だとムダ使いのダメ人間のように見える。

 がしかし、「百年目」の旦那の言をかりれば、合格ではないだろうか。

 彼の本心は「儲けるだけが商売ではないよ」という親父への批判があるの

 ではないかと思える。

 ちょっと、買いかぶりすぎかな。・・・m(__)m

 

  

 

 

  


ご感想をお聞かせください。
タイトル
お名前(必須)
メールアドレス(必須)
ホームページURL(省略可)
ご感想
このホームページはどうですか?
すごく良い 良い 普通 改善の余地あり 評価できない