先代 金原亭 馬の助 師匠編




 

 

昭和期に活躍。昭和19年五代目古今亭志ん生に入門、古今亭志ん駒の名を

もらう。昭和30年金原亭馬の助で真打に昇進。師匠ゆずりの間のいい軽妙な芸風の一方で「七段目」などの芝居噺も得意にしていた。

また鳴り物の名手であったが、早くからやや老成のイメージがあり、

期待されながら昭和51年に49歳という若さで亡くなられました。

席亭も学生の頃、浅草演芸ホールにて一度だけ高座を拝見いたしました.

その後、いろいろな放送を通じて馬の助師匠の落語を聞く機会を得ましたが

他の落語家さんがおやりにならないようなネタを発掘して高座にかけている

その努力のあとが伺われます。

文芸物などにも取り組まれておりますし、研究熱心な師匠だったようです。

東京落語会などで講演されました。

ご存命であれば、多くの埋もれてしまった噺を掘り起こしてくれていた

でしょう。米朝師匠のようにね。

 

余りにも早い駆け足で、この世を走り抜けていってしまったですね。

珍しい話では以下のものがあります。

惜しくも亡くなられてしまった。席亭は一度だけ高座を拝見する機会に

恵まれている。通路の横に立ち見席ではあったが、照明の加減だろうか

やや紫がかった髪の毛と浅黄色の高座着だったような気がする。

まだ中学生か高校生の頃で落語に入れ込んでいたわけではなく、たまたま

初席を浅草演芸ホールに入った時のことでした。学生の頃は主に池袋演芸場

や文芸座とマイナーな寄席回りで馬の助師匠とお会いする機会が無かったと

記憶しております。実質的に「間に合わなかった噺家の一人」なのでしょう。

でも、あの初席以後まだまだお会いする機会はあったのにと思うと、

巡り合わせなのでしょうか。自分で「間に合わなく」してしまったという

思いですね。

芸風は下表にもあるように、本格派で生きておられれば、今頃は枯れた

いい噺家になっていたに違いない。

 

 

金原亭馬の助

蛙茶番

金原亭馬の助

辻八卦

金原亭馬の助

雁の湯

金原亭馬の助

夕立勘五郎

金原亭馬の助

とんちき

金原亭馬の助

旅は道連れ

金原亭馬の助

棒だら

金原亭馬の助

七段目

金原亭馬の助

小言幸兵衛

金原亭馬の助

火焔太鼓

 

「蛙茶番」という……………・・噺

 

故柳朝師匠が得意としていた噺で、元は上方の噺です。

茶番というのは芝居小屋の役者でまだ下っ端の大部屋役者だけで座興に

演じた芝居のこと。娯楽の無かった当時の事、庶民の楽しみは芝居見物や

相撲見物。町々には素人芝居などを楽しむ連中がいて、隠居や大家さん

若い者から年寄りまで芝居心があったようだ。

「役もめ」などといって、どんな役につくかで喧嘩になったりもする。

誰しも格好良い役につきたいものです。なかでも忠臣蔵の勘平役などは

人気があり、調整がつかないで一芝居に36人も勘平役がいたなどという

エピソードもあるくらい。それにしても随分と教養が高い話ではないですか

 

そんな町内での出来事です。例によって芝居の話が持ち上がり、早速

「役もめ」がおきた。なにしろ伊勢屋の若旦那に「蛙」の役をふった

というのだから納まらない。伊勢屋の若旦那といえば芝居をやるにつき

大枚の寄付を戴いている・主役がきて当然のところが「蛙」である。

怒ってしまう。しょうがないから子供のわりに芝居心のある定吉に

小遣いなどでつって「蛙」役とした。

一方、長屋の若い者で八公。こいつも芝居好き。どんな役がまわって

くるかと楽しみしていると、「舞台番」というやつ。

「舞台番」というのは舞台のそでに座って客席の方に向かい、ざわめいたり

するのを咎めたりする役。あまり良い役ではない。この八公には近所に

好きな女の子がいる。もしこの子に「舞台番」の姿などを見られたら

大変だというわけで芝居に出てこない。一計を案じた世話役がこう仕掛けた

「八っあんの偉いところはここよ。人の嫌がる役を喜んで引き受けるなんざ

 男の中の男だよ。惚れ直しちゃうよ。」とかの女の子がいったというのだ。

それに引っかかった八公、いいところをみせようってんで、湯に入って

さっぱりして質屋から借りてきた立派なふんどしを締めて舞台のそでに

座ろうという趣向だ。慌て者の八公、風呂をでてから褌もしめずに芝居小屋へ

と駆けつける。早速舞台のそでに陣取った。裾をまくって威勢のいいところを

示したまではいいが、なにしろ褌を締めていない。ナニがもろみえである。

おまけにデカイものだから客はあっけにとられてしまう。女性達は頬を赤らめ

始める始末。場内ざわめいてきた。

やがて定吉ふんする「蛙」の出番となるが、なかなか現われない。

舞台の袖でしぶっている。世話役が訳を聞いてみると、

「だって、袖で蝮が睨んでいるんだもの。」…でオチ。

 

少々バレ噺気味だが、笑えますね。「錦の袈裟」なども同様な噺だ。

 


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