三遊亭 歌司 師匠編

当代三遊亭圓歌師匠のお弟子さんです。「ちゃっきり節」で
でてくるが静岡県の生まれではない。声を聴いているとタレントの
「小松政夫さん」に非常によく似ている。容貌もかくやと。
圓歌師匠は「はしご酒」のようで、お弟子さんを連れられては
飲みにでかけられるようだ。最後まで残っているのは歌司師匠の
ようです。高座で話している様子では、最後は圓歌師匠の自宅に
きて、もっと飲もうといういうことになり、冷蔵庫を開けると
ウイスキーが一本入っていたので、二人で水割りにして一晩中
飲んだとのこと。最後は酔いつぶれて寝ていると、朝方奥様が
起きてこられて、「まあ冷蔵庫に入れておいた麦茶がないわ」
とのこと。考えてみると冷蔵庫にウイスキーが一本だけ入れてある
はずもなく、酔っ払っているから麦茶ともわからずに、それも
水割りでチビチビ飲んだとのことなのだ。
酒のみが出てくる噺は多いですね。「替わり目」、「親子酒」
「一人酒盛り」「猫の災難」「芝浜」「居酒屋」「禁酒番屋」
ばどきりがないくらい。噺家が酒を飲む仕種などは天下一品で
小さん師匠の「試し酒」や志ん朝師匠の「二番せんじ」などは
その中でも秀逸なのです。ついつい引き込まれるような飲みっぷり
とでも言おうか。
歌司師匠の飲みっぷりも結構です。
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三遊亭歌司 |
出世豆腐 |
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三遊亭歌司 |
ずっこけ |
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三遊亭歌司 |
妾馬 |
「出世豆腐」という………………噺
豆腐を扱った噺というと、「甲府い」や「酢豆腐」などが浮かぶが、この
「出世豆腐」もいい噺です。人情噺のジャンルに入る噺だ。
豆腐屋の朝は早い。出来上がった豆腐を町に売りに行く。とある一軒の
町屋の前で呼び止められた。中には汚い格好をした老人がいて、豆腐を一丁
所望したいとのこと。どうやら武家のようである。老人はひび割れた皿に
豆腐を受けると醤油もかけずにあっという間に食べてしまう。
「豆腐屋さん。申し訳ないが今は細かい持ち合わせが無いので、明日また
寄ってくだい」とのこと。気のいい豆腐屋は「へい結構です」といって、
また商いにいった。翌日もこの町屋の前を通りかかると声がかかり、豆腐を
一丁注文され、さしあげるってえと醤油もかけずに食べてしまう。
おかしな人だなと思うが、その日も細かいのがないというので、また明日とい
うことになった。さて三日目になる。例のごとく呼び止められ、お代の段に
なると、さすがに気が引けたのか、「豆腐屋さん、実は私には一銭のおあしも
ない。この通りの貧乏暮らし、食べるものもなく、一日一度、豆腐屋さんの
豆腐を戴いて餓えを凌いでおった。」と切り出した。
この豆腐屋さんは大変人情味のある人で、「ああ、かわいそうになあ。よく
みれば、人品のよさそうなひとだし、何か訳があってのことだろう。」と
感じた。「こんな豆腐でよければ、これから毎日とどけますよ。遠慮しないで
召し上がってください。」と言った。実はこの老人こそは、その名を荻生徂徠
といって江戸時代の有名な碩学者であった。
そんなある日、豆腐屋さんの近所で火事がでて、豆腐屋さんの店も焼けて
しまった。江戸は火事早いところで、火事には慣れている。すぐに商売の
準備に取り掛かるのだが、豆腐屋さんには元手がないので弱っている。
他の町内にて商売する事も考えたが、地元には馴染みの客が多くいて、これを
すてていくのも惜しい。などと悩んでいるところに、材木を一軒分積んで
大工達がやってきた。豆腐屋を建直すのだという。そんなことは頼んでいない
豆腐屋さんが訳を聞いてみると、おる大家のお武家様に頼まれたもので、
代金も済んでいるとの事。あっという間に店ができ、無事に商売再開となった。
一番にできた豆腐をかごにいれて、そのお武家様の屋敷にお礼に行く。
豆腐屋の身分を告げて、主にお目にかかる事となった。通された部屋で
待っていると、主が現われ、顔を上げると、身なりは異なるが、あの町屋で
毎日豆腐を届けていた時の老人であった。今は士官がかない立派になられて
いたのであった。さっそく土産の豆腐を献上すると、おいしそうに召し上がり
「私は今でもこの豆腐の味が忘れられません。あの時は大変お世話になりまし
た。人はいつの場合にも身を慎むことを忘れてはなりません。豆腐屋さん
これからもずっと、この豆腐を屋敷まで届けてもらいたい。」
情けは人の為ならず、小さな豆腐屋が一軒の店をもち、ご大家にも出入りが
できて出世をしたという噺でした。