2馬力 再生記

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  バラシタついでにレイアウトしてみました。これがドラマの始まりだった。
プラモデルの様に細かい作業も無く、            必要なのは天気と根気とスペースだけ、                我家のチャ−ルストンレストアの全容を掲載!           事の始めは、道端に落ちてたチャ−ルス1世と、天からのサズカリ物のチャ−ルス2世の出会いから始まる、  <レストアメニュー> 2台のボディー載せ変え(良いトコ取り) ガラス脱着、板金、塗装。 内装のリフレッシュ、ホロ新規製作、シート張り替え(又はカバー製作) というわけで、自分でやれる物はすべてやってしまおう、と始めたのですが、2cvの泣き所である床下の三 角地帯がやはり、いきはじめていました。うわさには聞いていたのですが、、、外見はさほどではなかったが、 試しに細い電ドルで穴を開けてみたらズボッという感じで開いてしまった。思い切って作り直そうとバッサリ 切り取ってみたら、やはり真っ赤に錆びていた。    2cvのボディーがコーナーやギャップで歪むため に、鉄板の接合部に隙間ができ雨天走行などで少しずつ水が入ったのかもしれない。この三角地帯とは室内側 のトゥーボードの下にあります。足元の居住性を高めるか?ボディー剛性の為か?ないしょで三角形のボック ス状の空間があります。後部のフエンダー、スペアタイヤ格納部と同じく、ボディーやフレームの剛性を補う 為に有るのかもしれません。なにしろフレームはそこいらのスチールデスクやロッカーよりも頼りないシロモ ノですから、、、。    ってなわけで、切り取ってドンブリ一杯程の錆を落とししっかりと防錆、ワック スオイルを塗布後、ペンタイト鋼板を角度を会わせて折り曲げリベット止め、防錆後アンダーコートで保護。 この作業はボディーをヨイショと持ち上げ、つっかい棒をかって行った(写真中)この下に潜ってやるのだが ハタ目には、結構笑える光景に違いない。        ボディーパーツは2台の良いトコ取りなので板金やパテ埋め等、ほとんど必要なく進んだ、塗料はプロに調色 してもらってまず黒を塗る。この時点で1世と2世のカラーリングの違いに気がついた。黒ベースと赤ベース の個体差は何なのだろうか?外見上ではテールランプの間が”赤と黒”というちがいだ。きっとスタンダール も悩んだに違いない。一説によるとこの赤ベースはフランスにて試作又は限定で作られたチャールストンらし い。使用するボディーが赤ベースなので、ありがたい?フランス仕様に従うことにした。塗装の条件は、風の 無い晴れた日、ただそれだけ。塗料はハイウレタン。これは塗幕が厚く、水分の透過率も低いという利点があ る。                                                塗装後、いや、一連の作業の中で一番大変だったのが、ドアーのウエザーストリップでした。これは2度とや りたくない!外したのはいいが、再度取り付けようとしたが、ぜんぜん入っていかない。ドアー側はC型の筒 状になっていて、そこにマチ針の様な断面のペラペラなゴムを通すのだが、押せども引けどもいっこうに進ま ない。そのくせ変に力を入れると外れてしまう。汗と油でべとべとになりながら(真夏でした)ドアー1枚4 カ所×4ドアーをやった日はもう何もやる気になれなかった。

          

      黒ベース(左)と赤ベース       完成したのは赤ベース

写真で黒ベースと赤ベースの違いが解りますか? ボディのベース色が違うため室内の色が違うのはモチロン、
フロントガラス周りが違います。したがってデザイン上反対色のベンチレーターの色が異なります。
フロントフエンダーとドアーの間の三角形の部分の黒はステッカーではなく塗装してありました。赤ベースの
方が状態が良いので、それを使って仕上げました。 車というのは外観や室内はいつでも手入れが出来るけど、
見えないところはつい後回しになってそのまま、、、という事になりやすいので、この際思い切ってフレーム
やボディ下廻りをきちっとやってみました。防錆、シャシーブラック、アンダーコート、全ガラス脱着しての
塗装。

始めた頃は、何て簡単に作られている車なんだと笑っていましたが、1台を組み上げてみて、実に巧みに作ら
れている事を感じました。<車作りとはこうである>といった常識とは全く違う観点から見つめ直し、徹底し
た独創性のなかで生まれたものだと思います。
たとえば自分が車を作ろうと思い、ダンボールかベニヤで原寸大のモデルを作ったとします。もちろんドアー
も開けて見たいから切り抜いてとりあえずガムテープで止めて、開閉できる様にします。窓の部分も切り抜い
てみます。セダンですから屋根はサンルーフかな、、、 でも実際に作ろうというときは、ガムテープをヒン
ジに変え、窓はレギュレーターを付け、剛性を考えてスチールルーフにサンルーフ。 

50年前の自動車社会を考えてもこのセオリーは同様に思います。ピエール・ブーランジュはこうした常識に
とらわれず、まったく違った角度から作っていったのでしょうか?
「こうもり傘に4つのタイヤをつけたもの」といわれる、コンセプトは本当にそこから始まったのかもしれな
い。当時のフランスの人々も「こりゃ、車ではない」とか「走る鳥小屋だ」と言ったのもそのとうりかもしれ
ない。この車を1台バラして組み上げてみると至る所でそう感じる。

2cvと他の車の共通点を探すより、違った部分を探した方が早いですよね。鉄板を折り曲げて差し込んであ
るだけのドアー、ボンネット、トランク。パイプにゴムを張っただけのシートはなんと脱着式。ピョコンと飛
び出したライト。ルーフは巻き取り式のオープン。シフトレバーは、、足廻りは、、 
こんな事の全てが類を見ない <ヘンナヤツ>。 しかしオーナーにとってこの事のすべてが2cvの魅力で
すよね。けっして外車乗りの自己満足なんかじゃ無くて、快適であり機能的。 利にかなっている、というか
的を得ている、というのか。よくわからないけど、、、                
<ピエール・ブーランジュ> 
天才と狂人は紙一重と言うが、
彼も天と狂を行ったり来たりしていたのだろうか?
ワインを飲みながら、、、

この様な見本も送られてきました。
足元部を切り開いた物、左右は下が見えている。ドアーの下に切った鉄板が落ちている。
ボディーを下ろさずにやった例、切り取り部分前の斜めの所が、<秘密の三角地帯>です。

これから、2cvをレストアされる方 なにかお役にたてればと思います また、レストア記録をお持ちの方、写真等 いただけたら、幸いです。 今回は大急ぎで書きましたが、内容を少しづつ充実させたいと ”思っています” かない たかし
kanai@kakaa.or.jp